サドルによる痛みはライダーの悩みの種。少しでも気になる場所が出てくると、ゴルフボールが当たったような痛みを感じるようになる。同じくらい痛いのが、突起や邪魔なシームによって引き起こされるサイクルパンツの擦れだ。
エディ メルクスやショーン ケリーなど、何千キロもバイクに乗って鍛えられたプロ選手たちでさえ、あまりの痛みにレースを断念しなければならなかったことがある。
医学専門家のほとんどが、表面の擦れた皮膚にバクテリアが侵入して痛みが増すと述べている。対処については、当たる部分にライダーたちがクッションとして生の厚切りステーキを入れていた時代以来、長い間その方法が模索されている。
サドルによる痛みを防ぐことのほうが、痛みをケアすること(または極上サーロインステーキをダメにする)よりもよいのはもちろんだ。以下に解消法を紹介しよう。
フィッティングの改善
シートが高すぎるとペダリングのたびにお尻が揺れ、サドルノーズのあたりに皮膚の柔らかい部分が当たる。その結果皮膚が荒れ、炎症を大変おこしやすくなる。慢性的にサドルによる痛みに悩まされている場合は、経験豊富なコーチや知識豊富なバイクショップスタッフにあなたのポジションをチェックしてもらうようにしよう。
頻繁に立ちあがろう
立ちあがることによって、クロッチの圧迫や血のめぐりを改善させることができる。数分ごとに15~20秒は立ちあがる習慣をつけよう。短い丘、ラフな石畳、または青信号からダッシュのといった自然の機会を活用するとよい。ペースラインまたはグループの後ろにいるときには立ちあがってストレッチをすること。多くのプロ選手たちは平地で重いギアに入れて立ちあがりながらペダリングするようにしている。これでクロッチの圧迫を防ぐことができる。
サドル上で移動しよう
シートの後方に座ると坐骨が最大限に体をサポートし、クロッチの圧迫を防いでくれる。しかしながら、シッティングでのクライミングではさらに後ろへ、また平地でのハードなライディングでは中央または前方に座ること。 それぞれ場所をシフトすることによって圧迫点が分散される。
良いサイクルパンツを数枚選ぼう
パッドやシームが平らに縫製されたものを探そう。ウェアブランドやセームパッドのパンツをいろいろ試して一番自分に合うものを見つけること。女性は特に体の構造を考えてデザインされたものを選んだほうがよい。ビブショーツもよいだろう。
しっかり支えてくれるシートを選ぼう
サドル選びは大変重要だ。幅広のサドルは太ももが擦れることがある。幅の狭いものは坐骨をしっかり支える役割を果たさない…皮膚の柔らかい部分に体重がのしかかり、あっという間に擦れや痛みが起こってしまう。厚いパッドのサドルは坐骨を上方に圧迫し、不快感が生じる。ライダー個人個人のサドルは、トライ&エラーを繰り返して一番合うものが見つかるものなのだ。
摩擦防止にクリームを皮膚の摩擦によるトラブルを防ぐために、ライド前に潤滑剤を塗ろう。ブランド製のクリームが高すぎる場合には、普通のワセリン
でも効果がある。サイクルパンツと、必要に応じてクロッチにも塗ること。
清潔を保とう
サイクルパンツはライドごとに必ず洗い、乾燥させる。すべて手洗いすること。着用の際には、手をよく乾かそう。
すぐに脱ごう
ライドが終わったら、出来るだけ早く、汗と臭いのこもったウェアを脱ぐこと。そのままでいると、バクテリアが繁殖し、擦れた皮膚に入り込んでしまう。シャワーを浴び、石鹸とお湯で綺麗に身体を洗うこと。よく身体を乾かして、ルーズフィットの服を着ると、皮膚が呼吸できてよい。下着については、ボクサーショーツを試してみることをおすすめする。タイトなブリーフでは、臀部やハムストリングス周辺に当たり、サドルによる痛みが増してしまうので注意しよう。
サドルによる痛みが出てしまったら
治療しよう
清潔にする他に、10%のベンゾイルパーオキシド配合のニキビ即効薬でケアすること。おそらくそれよりも効果があるのはEmgel(エリスロマイシン)と呼ばれる局所用処方薬だ。傷みがおさまってきたら、医師に抗生物質の服用を相談しよう。オーガニック療法としてオンラインで販売しているにんにく汁もおすすめだ!
自分で治してはダメ!
針で患部をいじったりするのはもちろん、自分で治そうとしないこと。炎症がもっとひどくなり、バイクに乗れなくなる期間が延びてしまうかもしれない。
休もう
治療をしたら、治るまではバイクに乗るのは我慢すること。炎症を起こして1週間以上苦しむくらいなら、3日間我慢したほうがずっとまし。爆弾を抱えてそれでも乗ろうものなら、嚢胞(のうほう)が出来て手術にもなりかねない。