私たちはバイクライダーであり、重量上げの選手ではない。よって、筋力トレーニングのやり方を間違えることがある。
もっともらしく信じられているのが、冬の間のウェイトトレーニングが翌シーズンのサイクリングに効果的であるという考え方だ。しかし、複数の新たな調査で、この効果について疑問の声が上がっている。これに対する明確な答えというのはないようだ。しかし、正しく行う限りは危険もないし、不要な筋肉がつくこともない。ここで、ウェイトトレーニングにおける注意点についてふれることにしよう。
少ない反復回数で行うこと
数年間にわたる負荷トレーニングのリサーチ結果は以下のようになっている。
反復回数1-6 筋力向上
8-12 筋肥大
15以上 筋持久力向上
つまり、強くなりたければ、重さを加えればよいということになり、その結果として、回数は減らして行うことになる(反復回数とはエクササイズの1セットにおける動きの回数を意味する)。回数を多くした場合は、筋力向上にはならず、持久力が向上する。
これは白とも黒ともつかない問題で、グレーゾーンがかなり存在するが、一応基礎知識とされている。重量上げ選手やパワーリフター、つまり究極の強度/出力を必要とするアスリートたちは、5回以下のトレーニングをする。
しかしながら、多くのサイクリストたちは、より重いバーを上げれば筋肉を「肥大」させられるのではないかと考えている。
これは大きな間違いだ!体重が増えるということは、消費カロリー対摂取カロリーの結果。少ない反復回数が体重増加やサイズアップにはならないのだ。8回~12回の反復回数に加えて、カロリー摂取-特にプロテインを摂取すればそれは可能になる。しかし、少ない反復回数をこなすことで見える結果は、筋力向上なのだ。
残念なことに、多くのサイクリストたちはトレーニングルームで筋力トレーニングの回数をこなしすぎている(15反復回数以上)。確かに、筋持久力は上達のカギの一つであるかもしれない。しかし、筋持久力をアップさせるには、ジムではなくバイクに乗ることが一番効果的なのだ。ウェイトリフティングルームでトレーニングを行う理由はただ一つ、筋力向上のためだ。短時間、重量を加えて行おう。
余分な重さを体につけないようにする
より大きな筋肉細胞(より大きい直径面積の細胞)はより大きな力を生み出す。これこそがパワー増強のための方法だと多くの人が考えているが、これはサイクリストにとって望ましいものではない。なぜそれが問題かというと、大きい筋肉というのはそれだけ重さがあるからだ。ウェイトトレーニングをすることによって、バイクで登り坂やスピードアップの際にパワーダウンしてしまう。
パワーメーターを使用している人は「パワーウェイトレシオ」という用語をご存じだろう。これは、自分の体重に対してどのくらいのパワー出力ができるかを意味する数値だ。この数値は坂を上る(またはスピードアップ)場合に大きく影響してくる。パワーウェイトレシオが高くなれば、山やTT、そしてスプリントなどでもパフォーマンスが向上する。
よって、1~6回の少ない反復回数でトレーニングを行うこと。これは筋力を上げることであって、筋肉を増大することではない。
各セットの間に長いリカバリー期間をつくること
リラックスしよう。歩いたり、友達と話したり、テレビを観たりすること。この間に筋肉は回復する。タンパク質の分解も最小限に抑えられる。次のセットでは、より高いレベルでリフティングできるし、結果あなたはより強くなる。各セット2~3分の休憩が望ましい。
限界ギリギリのトレーニングを避ける
「限界ギリギリのトレーニング」とは、最後のセットで限界状態になり、筋肉が強い衝撃を受けて疲労しきってしまう状態をいう。このタイプのトレーニングは筋肥大させずに筋力をつけるには方法が間違っている。限界ギリギリなトレーニングは筋肉を肥大させてしまい、あなたの成長を停滞期にしかねない。
無理な反復をこなさない
「無理な反復」とは、誰かにウェイトリフトを手伝ってもらったり、フォームを変えたりして無理な反復運動をすることで疲れきることを意味する。これは怪我のもとになるし、筋肉を傷めつけるため、筋肥大を起こす。
瞬発力を出す
リフティングをするときには完璧なフォームで、正しい呼吸で行うこと。ウェイトトレーニングの際には、短く、強い勢いで行う。体を傷めないこと。これにはしっかりとしたコントロールが必要になるが、瞬発力を養うにはよいリフティングの方法だ。