世界各地でロードレースの本格的なシーズンが間もなくやってきます。いよいよトレーニングを開始する時期です。いきなり強度を上げることやレースに向けた特別プログラムをこなすよりも、まずは長距離をスローペースで走行して体を慣らしていくことから始めましょう。これは、いざレースに出場する際になって体が悲鳴を上げないようにするためです。
ここで問題になるのは、『トレーニングを基本的な内容からレースに向けた内容にシフトとする過程で何が大切か』ということ。コツは、徐々にシフトしていくということです。レベル0の状態から1週間でいきなり目いっぱいの内容のトレーニングをやろうとしてしまう人は多いですね。これでは体を慣らすどころか余計にコンディションを悪化させかねません。
第一過程 強度と持久力
初めの2週間、私の場合は強度と持久力を上げるトレーニングを週に3回こなします。しかし、そのうち1日は緩めに、あるいは完全に休む日を作ります。強度と持久力のトレーニングは脚を慣らして力を向上させ、そのときに強度をあまり挙げ過ぎない程度に低ケイデンスで大きなギアを踏むようにしていきます。強度と持久力のトレーニングは徐々に行い、勾配も少しずつ上げて行うことが好ましいです。
5週間の間に、シッティングで1分間に60回転 10分間のトレーニングを3セット行います。各セットの間には最低でも10分間リカバリータイムを入れるようにします。10分間のパワーアップトレーニングは手始めとしてはよいのですが、現在行われている研究によると、低ケイデンスで5分間行うほうが効果的であるという結果も出ています。私は第2週目から、シッティングで1分間に50回転 5分間のトレーニングを4~6セットこなします。各セットの間には5~10分のリカバリータイムを入れましょう。
第2過程 さらに強度を上げる
数週間で基礎的な力を養ったあとは、週に数回、さらに強度を上げるトレーニングをしていきます。強度を上げるトレーニングについては様々なものが考えられます。どんなレースに出場するかによって、パフォーマンス向上のための方法が変わってきます。
第2過程のトレーニング案
スプリント
スプリントトレーニングとして私がお薦めするのは、ローラーでの『もがき』のトレーニングで、通常は2分ごとに全速力で10秒間 10回を2セット。各セットの間には20分のリカバリータイムを入れます。
ギア比は53x15, 14, 13, 12、またはさらに高いギア比でトレーニングすることにより力が向上し、瞬発力を養うことができます。
平坦な道でのトレーニング
オートバイやスクーターを活用できる機会があればおすすめなのがモーターペーシングです。オートバイを追うことによってバイクの最高速度が上がり、スプリントの練習になります。モーターペーシングはあらゆるレースのトレーニングに役立ちます。より速いスピードで力強く走るトレーニングができますが、レースの時と同様ヘルメット等プロテクションは必ずするようにしてください。
平均的なレベルのサイクリストであれば、高ケイデンス、1分間に平均100回転で1時間こなせば大丈夫。これは、平坦な道、またはわずかに起伏がある程度の道で行います。
上り坂攻略
上り坂でのライディングスキルの向上またはレースにおいて上りで勝負したいというのが目標であれば、おすすめのトレーニングはいくつかあります。ひとつは40秒/20分のレースシュミレーションです。長さにして最少10分間の上り坂トレーニングであれば、どんな坂でもこのトレーニングは適用できます。しかし、だらだらと続く坂のほうがこのトレーニングには好ましいでしょう。やり方は、自分の80~90%の力で40秒上り、次に力を50%ほどに落として20秒間さらに上るというのを10分繰り返します。20分リカバリータイムを入れて、さらにもう1セットこれを行います。これはかなりきついトレーニングで、脚に乳酸がたまりますが、鍛えれば鍛えるほど、レースで力を発揮できるようになります。
もうひとつのトレーニングは、レースのペースで上るというものです。短距離の坂を上るレースに出場する人もいれば、長距離で徐々に勾配が上がるレースに出場する人もいるでしょう。このトレーニングは、100%の全力を出し切って後には全く力が残っていないくらい本気で目標とする坂を攻略するというものです。モーターペーシングはこれよりもさらにハードなトレーニングとなりますが、自分のペースでやりたいと思ったらこちらの方法でトレーニングすると良いでしょう。
レースまで日が近づいてきたら、さらに強度と瞬発力を上げるトレーニングを行うことになりますが、毎週必ず休みを入れるように。そうすればレースに万全の体制で臨むことができます。